2008年9月18日木曜日

日本矯正歯科学会



 昨日、第67回日本矯正歯科学会大会から帰ってきました。大会としては67回目ですが、日本矯正歯科学会は1926年の創立で、すでに82年の歴史を持っています。歯科の学会としては古い方だとは思います。それでもアメリカ矯正歯科学会は、確か今年で105年ですから、それに比べると歴史は浅いとも言えるでしょう。もともと矯正歯科は歯科の分野でも、変わった分野であり、歯科学校を卒業しても矯正歯科臨床はできないため、それ専用の学校が20世紀はじめにできました。そのため矯正歯科学会は、基本的には専門医の集まりであり、アメリカ矯正学会の会員15500人の多くは矯正専門医で構成されています。日本矯正学会は現在5900人ですが、専門医は約1/3くらいと思います。

 今回の学会では、千葉の幕張メッセで行われました。以前も日本臨床矯正歯科医会でもここで行われましたので来るのは2回目です。ディズニーランドよりかなり遠く、なんだか疲れました。特に大きなトピックはなく、ここ数年はインプラント矯正がメインです。残念なことは口腔機能と咬合、あごの発育に関連する研究は以前に比べてだいぶ少なくなってきたようです。

 この学会で楽しみなのは、RTDという昼食時に数名の先生が集まり、テーマにそってサンドイッチなどを食べながら、昼休みの1時間ほどディスカッションするコーナーがあります(写真下)。10年前くらいから行っていますが、ここ数年は口蓋裂関係のテーマを選んで参加していましたが、今年は機能の研究発表が少ないため、「態癖改善が矯正臨床に及ぼす効果について」(コーディネータ:小川晴也先生)のセクションの参加しました。習慣的な頬杖や睡眠態癖が顔面の非対称や歯列の変形を起こすことを小川先生が数多くの症例を提示していただきました。とても参考になりました。ありがとうございます。

 うつぶせ寝や頬杖などがあごや歯列の変形を引き起こすことは以前から指摘され、テーマとしてはそれほど新しいものではありません。。矯正臨床は機械派と機能派に分かれ、ワイヤーなどの力を使い、歯を動かしことを重視する派と舌の機能、咀嚼、あるいは態癖などの機能を重視する派に分かれます。現実派とロマン派とも言えると思います。機能の研究は本当に夢のあるもので、ロマンが求められますが、一方なかなか証明が難しく、実際の臨床には応用しずらい面を持ちます。以前いた鹿児島大学の伊藤先生のところでは主として咀嚼や姿勢などの機能の研究が中心でしたので、私も基本的には機能派と思います。次回もう少しくわしく書きます。

 写真下は器材メーカーの展示会場です。他の学会に比べてかなり大規模で豪華です。というのはかってこの学会期間の2日に一年の売り上げの半分以上を売っていたため、メーカーも必死です。私のところも一年分の器材をこの日に買ってきます。学会価格や、アメリカのメーカーが多いせいか、たくさん買えば割引も増えます。矯正の器材は本当に多く、カタログの商品だけでも細かく言えば1000種類以上あり、メーカーの社員も専門知識が要求されます。そのためある会社をやめても、他の会社に移ることが多く、混乱します。メーカーの販売員は各地の矯正専門医を回り、新商品を説明して買ってもらう、これが基本のやり方で、古風な商慣習です。ただいいのは使ってきて問題があれば販売員に説明し、今後の商品の改良に利用してもらいます。矯正臨床を支える人たちといえると思います。

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