2022年10月4日火曜日

日本の若者に期待

 



最近、経済力を伸ばしている国として、中国、韓国、台湾など日本の隣国、東アジアの国がある。さらに小国であるが、シンガポールなども近年、繁栄している。これらに国は、いずれ、一人当たりGDPや給与も日本を凌ぐ、あるいはすでに超えていると言われ、アジアにおける日本の経済的な優位性は昔に比べて落ちているのは事実であろう。

 

この要因として、これらの東アジア諸国に比べて日本では、急速な高齢化が始まり、若い、働く世代の減少が関与しているのは間違いない、同じ仕事をするなら70歳より30歳の方が効率的に仕事をする場合が多い。もちろん経験が関与する仕事ではそうしたことはないが。

 

ただ海外での大型物件、例えば鉄道建設、大型プラントなどの競争で、日本が韓国や中国に負ける理由として、強引な誘致ができないこともあろうが、若者自体に積極的な営業活動ができないことも理由となろう。昔、50年前の大手の商社の営業マンに話を聞くと、海外の大型案件の契約を取るために、女は抱かせる、金はばらまく、毎夜接待するなどあらゆる方法を用いて契約にこぎつけた。韓国、中国の営業マンのやり方である。今は日本の商社自体がこうしたグレイの営業スタイルを禁止しているし、また商社マン自体もこうしたガッツがない。

 

翻って考えると、日本の商社マンに代表される営業マンが、中国、韓国に負けるようになったのは、おそらく「ゆとり世代」が第一線に導入された頃からと思われる。実際、日本の入試自体は、中国、韓国、台湾、シンガポールの人からすれば、ばかみたいに優しく、彼らからすれば、小学校、中学校、高校、大学、そして会社に入っても、常に競争社会であった。例えば、台湾であれば中学3年生で全国共通試験があり、その得点で台湾全土の1番からビリまでが決められ、入学できる高校も選べる。同じように高校3年生でも共通試験があり、台湾大学医学部に入るためには750点満点で740点以上が必要となり、また大きな会社ほど偏差値の高い大学の卒業生を入社させる。韓国、中国でもぼぼ同じ仕組みで、現代版、科挙といっても良い。流石に中国ではあまりの教育熱が社会問題化され、塾の廃止などがされたし、韓国では高校入試を撤廃して有名高校を無くした。それでも過酷な受験戦争は無くなることはない。

 

大学入試のほぼない国として、フランスが挙げられ、大学入学資格試験、バカロレアという試験に合格すると、どこの大学にも入れる。ただ医学系の大学では1年生のクラスは2000名以上の学生がいるという状況になり、2年生になって専攻、医師、歯科医に進むためにはかなり難しく、競争率の高い試験を受ける。グランゼコールというフランス特有の高等教育機関に入るのみ、恐ろしいほど過酷な勉強が必要となる。同様にアメリカの大学は入りやすく、卒業しにくいと言われるが、ハーバードのような名門校への入学はかなり難しく、卒業、就職へと競争社会が続く。

 

アジアの多くの若者と会話すると、日本のような競争が少なく、優しい社会に憧れるという。実際、日本の優しい若者が、競争心の強い世界の若者を戦えるか。私は、不思議に大丈夫だと楽観している。かってボクシングで世界チャンピオンが出なかった時期があった。当時、他国に比べて日本人は豊かになり、ハングリー精神がなくなったからだと言われた。ところが最近では史上最強のボクサー、井上尚弥など多くの日本人チャンピオンが出ている。同じようにガッツの点では、国際入札などでは負けても、信頼と信用という新たな武器で十分に戦えると思われるし、商売というものはあまり金を中心にするとうまくいかないものである。最近の若者は、金や地位というよりはやりがいのある仕事、人の役に立つ仕事などを求めるようで、大学を卒業して農家になったり、職人や伝統工芸の道に行く人も多いし、またアジア、アフリカなど発展途上国で現地の人々と一緒に仕事をする人もいる。大リーグの大谷翔平選手のようなとてつもない若者が日本からどんどん出て欲しい。

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