2022年10月3日月曜日

若者のスマホ依存

 



私の場合、スマホを使うのは1日に5分以内、通話も1ヶ月に数件である。仕事以外の余暇は、テレビとパソコン、読書、音楽で過ごす。スマホをあまり使わないのは、文字が小さくて、読みにくいというのが一番の理由であるが。

 

ある調査によれば、1日にスマホを3時間以上使っている人の割合が53.8%、2時間以上となると75%ということになる。この調査は2021年度、10-70歳を対象にしたアンケートで、違う調査では、10歳代の女性では3時間以上が80%、2時間以上は89%となる。さらに8時間以上が20%近くいる。もちろん学校や仕事に行っている間は、基本的にはスマホを見ることはできないので、例えば、仕事、学校にいる時間が8時間、食事時間1時間半、風呂、トイレ30分、睡眠時間8時間、掃除、洗濯、料理など雑用が1時間とすると、残りは5時間、この時間ほぼスマホを使っているのだろう。さらに何を見ているかという調査では、アプリ、ゲームが55.6%、続いて動画視聴が22%となる。とにかく忙しくて、空いている時間はずっとスマホを操作していている。テレビを見ることもなく、雑誌や本を見ることもなく、勉強しているわけでなく、絵を描くわけでなく、ピアノの練習をするわけでない。

 

東大生に聞いた調査によれば、スマホでゲームをする人は57%であるが、一日のゲームの平均時間は1時間未満が64%となる。別の研究では、小・中学生の算数、数学、国語の正答率とスマホ時間はきれいな逆相関を示し、使用時間が少ないと正答率が上がる。これは他の研究でもはっきりしていて、2018年の仙台の中学生を対象とした大掛かりな研究で、スマホを1日に4時間以上使う群は数学の点数は47点に対して、1時間未満、全くしない群は74点、また国語は60点と73点、理科は45点と70点、社会は46点と67点と、全ての科目で大きな差がある。この原因として、スマホの使用が長いために学習時間が減ったことと、学校で学習した内容がスマホにより記憶が消えるという。今はこの時以上にスマホの使用時間は長くなっており、スマホの使用時間が学力に決定的な影響を及ぼす。自転車に乗りながら、スマホを使っている学生はほぼ勉強ができないのであろう。

 

スマホは若者にとってある種の麻薬なのかもしれない。これがないと不安であるという人の多い。過度の利用は学力に影響を及ぼすことははっきりしているにも関わらず、やめられない。これは覚醒剤や大麻と同じようなものかもしれない。もちろん麻薬と違い、それによる利便性も大きいが、それほど悪いと見られていない点も怖い。フェイスブックは仮想空間メタバースの開発を進めており、将来的には現実とは瓜二つのVRの世界が出現するであろう。そうなると、ネットの麻薬性は格段に上がり、人とのコミュニケーションを断ち、仮想空間だけで生きていく人が生まれるだろう。

 

世界でのスマホ使用時間を調べた2020年の調査がある。一番長時間使っている国はインドネシアで、1日平均で6時間、ついでインドの4.8時間、そしてブラジル、中国、韓国、日本となり3.6時間、そしてロシア、カナダ、スペインと続き、最も少ないのはドイツで2.4時間となっている。さらにスマホを含むインターネット使用時間でいうと(2019)、フィリッピンが10時間、ブラジルは9時間29分、タイが9時間11分となる。この調査では日本は3時間45分で最低であった。同様に15歳から35歳のスマホの依存度を調べた最新の調査(2022)では、一位は中国、そしてサウジアラビア、マレーシア、ブラジル、韓国と続き、日本は15位となる。低いほうでは23位がフランス、24位がドイツとなった。

 

つまりスマホの過度の使用は、人をアホにさせる。であるなら、スマホを多く使う、依存性の高い国は、アホが多くなり、国が衰弱するという理屈となる。親が言っても子供はいうことは聞かないなら、小中高校生のスマホは国が制限すべきなのかもしれない。中国ではすでにこの危険性については理解しており、ゲーム制限令を定め、「週末の金曜日、土曜日、日曜日および祝日に限り、午後8時から9時までの1時間も制限する」とした。日本でも香川県が、ゲームの使用時間は平日60分、休日90分という条例を作ったが、ほとんど守られていない。そろそろスマホの利点だけでなく、欠点についても学校で教育すべきであり、またマスコミでももっと取り上げて欲しいところである。


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