2022年3月5日土曜日

ロシアのウクライナ侵攻に思う

 



ロシアによる軍事的ウクライナ侵攻が起こった。21世紀も22年も経つのに未だにこうした古典的な戦争が起こるとは思ってもいなかった。ブーチン大統領という独裁者によるものである。

 

ただ第二次世界大戦と今が決定的に違っているのは、兵士一人一人の命の価値がかなり高くなったことで、昔は軍隊の指揮者が兵士の死を平気に要求できたが、今は一つの戦いで100名以上の戦死者が出ると大変なことになる。太平洋戦争では、硫黄島の戦いでアメリカ軍は7000名、日本軍は17000人の戦死者が出たが、現在の戦争では、一回の戦いでこんなに損害が出れば、即、戦争は継続できない。マスコミや政界で批判されよう。

 

またミッドウエイの海戦では、日本の4空母と300機以上の飛行機を喪失したが、一つの海戦でこれだけの被害が出れば、これも即停戦となる。何となれば、現在のジェット戦闘機は一機、100億円以上するため、300機の損失は3兆円の損失、空母の建造費は約5000億円、4隻で2兆円となり、合わせて5兆円の損失となる。

 

このように現在の戦争は、第一次世界大戦、第二次世界大戦のように長期に戦うことは、人的および費用的にも不可能であり、今回のロシアのウクライナ侵攻においても、戦争が長期化し、ロシア軍の損失、特に人的損失が増えると、否応なく戦争の継続は困難となる。旧ソ連が侵攻したアフガニスタン紛争は約10年間続いたが、14000人以上の戦死者が出た挙句、撤退した。何らのメリットもなく、ソビエトの崩壊に関与した。ウクライナの場合、アフガニスタンより人口が多く、西側からの武器供与も滑沢にできるため、ウクライナ人の戦意が高いと、ロシア軍の被害は甚大なものとなる。いずれにしても現代の戦争は、長期化できない構造となっており、それを阻害する要因、侵略された側の強く、長い抵抗があれば、結局、敗戦となり、大きな損害となる。すなわち国民に強い愛国心とそれに伴う戦意があれば、まず現代の戦争では負けることはない。

 

まだウクライナ戦争が始まったばかりであるが、すでにロシア陸軍の脆弱性、恐るに足りないという認識と、旧来の侵略戦争には大きな経済的代償が伴うことがはっきりした。特に隣国、中国は、台湾侵攻のシミュレーションになった。もし中国が台湾に侵略すると、今回のロシアの例から、国際経済から締め出され、完全に孤立化する。こうした流れに中国国民が納得するか、それとも国内で革命が起こるか、今後のロシアの動向は台湾侵略の試金石となる。もしプーチン大統領がこの戦争により失脚すれば、中国による台湾侵略は遠のく。

 

日本では太平洋戦争における特攻隊員の犠牲により、よほど世界からは侵略しにくい、勇敢な兵士の国と思われている。昔、社会党の議員が、もし他国から侵略されたら、どうするのかと尋ねられ、その場合は、抵抗することなく、そのまま降伏すべきだと言っていた。同じようなことを今回のウクライナ戦争でもウクライナはロシアに降伏して抵抗するなと唱える識者がいる。こんな国では他国が侵略されても誰も助けてくれず、国民の強い愛国心こそが最大の抑止力となり、それは原爆も含めていかなる兵器よりも他国の侵略を防ぐ盾となる。

 

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